アメリカ旅行日記〜LA旅行6日目:大地の裂け目が語るもの―グランドキャニオンの静かな奇跡

この日、私たちは旅のクライマックスともいえる、グランドキャニオン・サウスリムを巡りました。
小雨が降り、風も強く、体感温度はまるでマイナス3℃。
でも、その寒さすら、今日という一日にピリッとした“特別感”を添えていた気がします。
最初に訪れたのは、王道のMather Point(マザー・ポイント)。
視界いっぱいに広がる巨大な渓谷。その壮大さに言葉を失い、心のどこかで「地球って、やっぱりすごい」と、静かにつぶやいていました。
次に足を運んだのは、Grandview Point(グランドビュー・ポイント)。
ここでは、強風が吹くたびに、心の中のざわつきまで吹き飛ばされていくような、不思議な浄化感覚に包まれました。
続いてのMoran Point(モラン・ポイント)では、大地の色が光に応じて表情を変えていきます。
太陽が地球というキャンバスに、自由に筆を走らせている――そんな景色がそこには広がっていました。
そして最後は、Desert View Watchtower(デザートビュー・ウォッチタワー)。
塔の壁に刻まれたネイティブアメリカンのアートと、その足元に広がるコロラド川の悠々たる流れ。
過去と現在、自然と人が静かに溶け合っているような、優しい静寂に心が包まれました。
ただ“観光”をするのではなく、“感じる”旅。
地球の鼓動と自分の鼓動が、ほんの一瞬、重なったような感覚。
グランドキャニオンが教えてくれたのは、スケールの大きさだけではなく――
「今ここにいる」という、かけがえのない奇跡だったのかもしれません。