『骨折マダムと“受話器”の静かなる闘い』

〜LA帰国娘が知らされた、母と腰とプライドの物語〜 九州は梅雨入り。線状降水帯のニュースにドキドキしつつ、早めに空港へ。 飛行機が無事に飛ぶことを祈りながら、ふと頭をよぎったのは――うちの母の“事件”。 ロサンゼルスで夢のような旅を終え、グランドサークルで大地の鼓動に感動していた私。 飛行機を降り、スマホの電源を入れた瞬間…妹から怒涛のLINEが。 「ママが!」「骨折!」「入院拒否!」 情報量、多すぎて時差ボケより頭グラグラ。笑 どうやら我が母、私の不在中に腰を骨折していたらしい。 しかも、なぜか元気。やたら元気。 病院では先生にこう言ったそうで―― 「私、入院なんて絶対イヤ」 その結果、取り外し式のギブスだけ装着して、堂々と帰宅。 そして今―― 誰に頼まれたわけでもないのに、固定電話の前に鎮座。 「私、この家の電話番だから!」と、謎の使命感を燃やし中。 (なお、誰からかかってくるかは本人にも不明。) 帰宅した私に、母はニッコリ微笑んでこう言った。 「大丈夫よ。まだ、あなたのお世話になるのは早すぎるわ。」 …いや、骨は折れてもそのプライドはバッキバキ 「安静」も「弱音」も辞書にない、最強マダム。 天然で明るくて、ちょっと変。 でもやっぱり、大〜好きな私の母です。 今日も誰かの電話を待ちながら、腰をかばってニコニコしてるはず ちなみに私は、鹿児島と東京を行ったり来たりの元気印。 母のお世話は――“ほぼ会話のない姉”に一任して、ちゃっかり帰ります。* (色々あるけど、それもまた家族。)