完璧だと思っていた母

先月、実家に帰省したことで
私は、母の小さな異変に気づきました。
ずっと「完璧な母」だと思っていた人が、
少しだけ、弱くなっているように見えたんです。
あんなにキッチンに立つのが好きだった母が、
「最近、ご飯作るのが面倒くさくなってね。
1人分を作るのが、なんだか嫌なの」
そう言って、少し寂しそうに笑った表情が、
今も頭から離れません。
完璧で、気丈で、弱音を吐かない人。
だからこそ、その言葉が胸に残りました。
東京に戻ってから、ふと思ったんです。
もしかしたら今は、
“何かしてあげる”よりも
“気にかけているよ”と伝えることが
いちばん必要な時期なのかもしれないって。
毎日電話するほどの話題なんて、
正直ない日もあります。
天気の話、今日食べたもの、
どうでもいいような話ばかり。
それでもいい。
声を聞くこと。
聞いてもらうこと。
それだけで、人は少し安心できる。
母は、これまでずっと
家族を守る側で、支える側で、
弱さを見せない役割を生きてきました。
だから今度は、
私がそっと目を向ける番なんだと思っています。
完璧じゃなくていい。
強くなくていい。
ただ、ひとりじゃないと感じてもらえたら。
今の私にできることは、
それくらいかもしれないけれど、
それでいいと、思えています。
